2012/01/13

『「うつ」とよりそう仕事術』

眠れないので久しぶりに読んだ本の感想でも。

ご存じの方はご存知の通り、私は数年前からうつ病を患っており、昨年の前半に急激に回復して一度はこのまま寛解か?というところまで行ったのですが、夏の終わりごろから体調が急落し、再びクスリ漬けの生活に戻っています。

そんな中、ネットで目に入ったのがこの本でした。

「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)
酒井一太

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今まで何冊かうつ病に関する本は読んできたのですが、基本的にはどうやって寛解に至るかについて書かれているものばかりで、今現在うつ病の人がどのように社会(主に仕事ですが)と折り合いをつけていくのかということについて触れている本はなかったように思います。私自身もいつかは寛解して、昔のように働くことを常に意識していたのですが、今回の経験から、寛解を目指すよりもうつ病が寛解しないことを前提にどうやって仕事をしていくのかを考えるほうが現実的だと考え方を変えつつあります。

こういった考え方の変化の中でこの本を読んだのですが、今まで自分が実践してきたことと本の内容の多くが一致しており、私も一応うつ病患者としてそれなりに社会や仕事に最適化していたようです。

興味のある方は実際に手に取って頂くのが一番いいのですが、この本で取り上げられていた中で、いくつかこれは大事だなと思った部分があるので取り上げておきます。

・睡眠について
うつ病は脳が疲れきっている状態なので、睡眠はとても大切です。睡眠薬を飲んででも眠って脳を休めないと思考力や判断力が確実に落ちていきます。うつ病の悪化を防止するためにも必ず一定時間の睡眠を取るべきだと思います。また、短時間の昼寝はかなり効果があります。

・お金について
うつ病患者である限り、うつ病の悪化・再発によって仕事を失い、収入が絶たれる可能性は高いと考えられます。失業保険や傷病手当、自治体による自立支援医療費支給制度など、公的な補助は受けられますが、最終的には手元の蓄えが安心に繋がります。また、少なくとも数年間は無収入で暮らせるだけの貯蓄があれば、いざというときに自分の身体の回復を最優先にすればいいと開き直りができます。

・うつ病を隠さない
うつ病を隠して生活するとどうしても無理をしてしまうことが多くなります(特に仕事では)。自分のまわりの人には自分がうつ病であることを知ってもらうほうが気分的に楽になれますし、うまく立ち回れば自分を楽な環境に置いて治療に専念できます。うつ病について無理解な人も多々いますが、そういう人に対しては開き直って全力で無視するほうがいいと思います。

・仕事について
仕事はできるだけ裏方仕事を引き受けるほうがよいです。雑事を淡々と片付けて実績を作るほうが自信につながりますし、ストレスも少なくて済みます。最前線で活躍できればそれもいいのですが、仕事で失敗した時のリスクが大きいので無理はしないほうがよいです。また、体調が不安定な時期は、急な体調不良を想定して、できるだけ速く仕事を片付けておくほうがよいです。

・感情の処理
うつ病患者に対して「頑張れ」と言ってはいけないというのは有名な話ですが、それでもやはり頑張れと言う人はいます。特に体調が悪い時期はこの言葉に確実にプレッシャーを感じるので、できるだけこの類の単語をスルーする能力が必要です。

・死なないこと
これが一番大切です。うつ病の最悪期には完全に正常な判断力を失うので、とにかく死を選ばないように注意する必要があります。とにかく「生きる」という選択をすること。これしかないと思っています。

最後にネットで見つけた心に残った言葉を引用しておきます。

生の始まりは化学反応にすぎず
魂は存在せず
精神は神経細胞の火花にすぎず
人間の存在はただの記憶情報の影にすぎず
神のいない無慈悲な世界でたった一人生きねばならぬとしても…なお…
なお我は意志の名の元に命ずる 「生きよ」と!!